映画「グリーンゾーン」

5月14日に公開される映画、「グリーンゾーン」のHPに解説を、劇場用プログラムにもやはり解説を行っています。

色々と考えさせられる映画なので、よろしければご覧ください。

HPはこちら → http://green-zone.jp/

Greenzonesaghir

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映画「グリーンゾーン」試写会を終えて

3月に全米公開、5月に日本で公開される「グリーンゾーン」という映画の私だけのための試写会に行ってきました。配給会社としては、この映画を5月時点でどう売ろうかと考えているようであると同時に、映画のディテール等についても気になったようです。

日本では最近、イラクに対する関心は急速に冷えているようですが、米国人にとってはまだまだ生々しい記憶が残っています。米国で公開される3月は、イラクで総選挙が実施される頃ですが、オバマ政権は、ブッシュ政権がアフガニスタンで行ったのと同様に、「選挙が実施されて民主主義が実現し、良い方向に向かっている」と喧伝しながら駐留米兵撤退のモメンタムを作り、11月の中間選挙に向かおうとするのでしょう。これに対してこの映画は、「ちょっと待ってくれ」と冷水を浴びせることになるのでしょう。

日本人にはこういう意味合いでのメッセージ性は低いのかもしれませんが、バグダード市一等地の多国籍軍支配地域「グリーンゾーン」が持つ意味は、イラクのみならず、普遍的に重いようです。公開がまだなこともあり、ここでストーリーについて語るのは控えますが、グリーンゾーン内の論理は占領者の論理で、そこでうごめくのは米国内の官僚の論理であり、権限争いです。それにもかかわらず、グリーンゾーンの論理はイラク全土、イラク人の命に決定的な重要性を持ち、彼らの運命を左右するのです。映画では、グリーンゾーンの論理が暴かれることになりますが、この論理こそ、イラクを泥沼に引き込んだ理由の一つと言えるのかもしれません。この意味で、映画の中で最後に「本当のイラク人の顔」が現れる瞬間は、「あっ」と思わされました。

公開されたら、こんな背景に今一度想いを寄せるのもよいのかもしれません。

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放映のお知らせ

先月の後半に北イラクとシリアに行ってきた様子の放映日が判明しました。

恥ずかしいこともあり、放映前に出演番組をお知らせするのは初めてのことですが、今日、スタジオ収録をしているときにスタッフの方から、「ブログ見てます」と言われ、「これは番宣した方がいいかな」と政治的判断をするに追い込まれましたので、お知らせします。

2月21日22時10分より

NHK-BS 「地球特派員」

一言:自分のロケの模様をスタジオでみんなで見るのは、とても恥ずかしいものでした。スタジオには、米政治の中山先生や中東政治の高橋先生も参加され、特に中山先生がMCをされ、緊張の様子がありありと伝わってきたのは、中山マニアには必見です。Umayyadstuff

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22歳に見て欲しい映画

今日、「大いなる陰謀」と題する映画を見てきました。普段は、試写会の案内が来ても時間もないので、ほとんど行ったことがありませんでしたが、なぜかふらっと行って来ました。題名が示唆するように、よくある「陰謀」ものかと思い、眠いのに、出席の返事を出してしまったことを後悔しつつ行ったのですが、あにはからんや、面白かった。

物語の筋は、http://movies.foxjapan.com/ooinaru/を参照いただくとして、米上院議員(トム・クルーズ)とジャーナリスト(メリル・ストリープ)の間のやり取り、大学教授(ロバート・レッドフォード)と学生のやり取り、一言一言がとても重く、息をつかせない作りこんだ映画という印象で、重い映画にもかかわらず、時間を感じさせませんでした。

現実の世界においても、米国が言うところの「対テロ戦争」と呼ばれるものが本当にあの通りの大義名分をもって進行しているのか、大きな疑問を抱いている私としては、フィクションでありながらもその背後に「リアリティ=現実の虚偽」を強く感じさせる作品でした。政治、ジャーナリズム、戦争、学業を描きながら、この映画は人間を描いており、あえて結論を出さずに、観ている者に大きな質問を投げかけます。恋人同士でいく映画ではありませんが、たまには根を詰める映画もいいんじゃないかと思わせました。たぶん、この手の映画は大ヒットすることはないのでしょうが、できれば22歳の大学生にぜひとも見て欲しい映画です。

残念だったのは、「大いなる陰謀」という邦題です。おそらくこの映画の主題は「What's for?」であり、「何のため」、「誰のため」を問うているように思われます。「何のための戦争」、「誰のための政治」、「なぜ学ぶのか」、「何のためにしに行くのか」、「ジャーナリズムとは何を目的とするのか」、それを考えさせるものに他なりません。それにもかかわらず、「政治的陰謀もの」を想起させる邦題はあまりに矮小すぎるように思われてなりません。とは言え、原題の「Lions for Lambs」もシニカルながら、軽すぎる印象はぬぐえませんが。

畑違いのわたしが映画の論評をするなど思いもよらないことで、失礼ながら、招いていただいた20世紀FOXさん、いい意味で裏切られました。ありがとうございました。たぶん、もう一度足を運ぶ映画になりそうです。

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