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エジプト情勢

エジプトが大きな転機を迎えているかに見える。

テュニジアの政変の際には、ツイッターに、この大衆革命が国境を越えるか、国外から帰国する勢力が大衆の怒りに融合できるかがカギである旨記した。主なき大衆革命は、国境を越えて、エジプトで火を噴いたのである。

この状況に対して、ムバーラク大統領は全閣僚を更迭して、彼らに責任を押し付けると同時に、自らの権威を誇示した。さらに、「自由と安全を守る」と述べ、自らがエジプトを擁護する立場にあると強調し、事態の収拾を図った。しかしながら、怒りの対象がムバーラク自身であるのに対し、この自信に満ちた態度は、逆に火に油を注いだようである。

そもそもエジプトには、エル・バラダイIAEA前事務局長やムスリム同胞団等、大統領のライバルは存在する。しかし、ムバーラク大統領は対抗者を許さない実質的な独裁体制を敷いてきた。また、ナーセルやサダートと比較され、「何もしない大統領」と揶揄されてきた。さらに、消費者物価の高騰や恒常的な失業の存在、貧富の格差等、社会に問題は常に存在してきた。これらのマグマが噴火したのであろう。

現状については、報道に頼るしかないが、大衆に対峙する警察と様子見の軍という構図の下、外出禁止令が大衆動員の号令となり、エジプト大衆はあたかも「運命の日」が来たかのように前に進んでいるようだ。また、ムバーラク政権を支えてきた米国に対する不満も表れているようだ。

政権の立場に立って現況の打開を早期に図るとすれば、①軍が政権を支えると表明し、大衆の軍に対する期待を裏切ること、②ムバーラクが退陣を表明し、早期の総選挙を約束すること、③外国の関与や国民の望まない指導者が声を上げること、等が考えられよう。

エジプトにおいては、失業対策として警察官が大量に雇用されているが、大衆は警察に対する尊敬の念が薄い。その一方で、歴代大統領をはじめとする政治家を輩出してきた軍は権威を有している。

この軍であるが、中東の大衆革命の動きの際には、これまでもカギを握ってきた。テュニジア並びにイランの大衆行動に対して、静観を決めたことで革命が成就したケース、イラクやエジプトの青年将校団のように、軍自身が決定的役割を果たしたケース、湾岸戦争直後のイラクにおける大衆蜂起を軍が制圧したケース等である。イラクにおいては、サッダーム・フセインの独裁に対する反感は存在したものの、米国等、外国勢力の関与やイラク人の憎しみが制裁や米国にも向いていたこと等から、当時、軍は大衆蜂起に正当性を認めなかったのかもしれない。

いずれにせよ、現在、介入を避けているように見える軍がどのような立場をとるかが重要に思われてならない。

平成23年1月30日記

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