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今年もお世話になりました

今年もあと2時間を残すにあたり、このブログへのアクセス数は、10899に上りました。

筆不精にもかかわらず、多くの皆様に訪れていただきました。

本当にありがとうございました。

今年最大の国際ニュースはバラク・オバマの米大統領訪問だったのでしょう。イラクにおける治安状況の一定の改善もあり、オバマ政権はイラクからの撤退に向けた政策立案および広報戦略を着々と進めているようです。

来年のイラクは、試練の年になりそうです。

3月には総選挙が予定されている。戦後イラクの最大の問題は治安であることに異論はないであろうが、過去において最大の治安悪化要因はテロ組織による治安事件ではなく、宗派・民族対立であった。2007年8月29日のサドル勢力による一方的停戦以来、イラクの治安は劇的に改善した。しかしながら、イラク戦争を契機に噴出した宗派・民族意識は強烈に残っており、省庁は宗派・民族に基づく政党組織に色分けされ、治安部隊の中にも宗派・民族に対して強く忠誠を誓う人々が組織的に多く組み込まれている。イラクの治安を左右する最大の要素が宗派・民族対立である以上、問題は政治であり、それゆえに3月の選挙の結果は、イラクの将来に大きな影響を与える。

7月末には米・イラク合意に基づき、イラク駐留米軍攻撃部隊が撤退する。攻撃部隊の定義に関しては議論もあるが、このこともイラクの将来に大きな影響を与えるはずである。その最大のものは、イラクの治安に与える影響であろう。米軍主力部隊の撤退がイラクの治安維持に直接与える影響もさることながら、前述の宗派・民族対立の抑制に米軍部隊のプレゼンスがあったことは否定できない。また、かりに懸念されている宗派・民族対立が再発する場合に、その間に割って入る「第三者」が存在しないという事態がやってくることになる。11月の中間選挙に向けて、オバマ政権はイラクからの撤収とアフガンへの戦力強化により、テロとの戦いが円滑に進展していることをアピールするはずで、イラクの治安状況が多少不安定になっても、米軍攻撃部隊の撤退は予定通り進められることであろう。カルザイが最初に大統領になったときにブッシュ政権が行ったように、選挙を契機に、イラクは安定し民主政権への道が開けたとアピールし、「足抜け」からサクセス・ストーリーに至る「物語」を準備しているはずである。

上記の二つは、明らかにイラクの来年以降を占う上で大きな出来事になりそうである。

イラク戦争からはや6年を経過して、未だにこのようなことを書き連ねなければならないのは辛いことである。イラクの過去の経緯を見ていると、悲観的になることが多いが、来年はなんとか楽観的な方向に動いてほしいと祈るばかりです。

来年は、小生にとっても変化の年がやってきそうです。

皆様もよいお年をお迎えください。

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休刊決定したフォーサイト誌に寄せて

月刊フォーサイトが来年3月末をもって休刊になるそうだ。

「フォーサイト」休刊へ=新潮社

12月16日15時53分配信 時事通信

 新潮社は16日、会員制の月刊国際政治経済情報誌「フォーサイト」を来年3月20日発売の4月号を最後に休刊すると発表した。
 同誌は1990年3月創刊で、現在の発行部数は2万2250部。黒字化の見通しが立たないため、20周年を機に休刊を決めた。 

フォーサイトには何度か寄稿させていただいたことがあるが、中でも思い出に残っているのは、「経済制裁で生じているサッダーム政権の変化」という2003年1月号に書いたエッセイである(http://www.zassi.net/mag_index.php?id=5&issue=3201)。90年の8月以降、イラクには国連の経済制裁が科せられてきたが、この制裁によってイラクでは経済・社会構造が変質し、サッダーム政権は国内的により強固になったと主張したものであった。自分のオリジナリティを出し、且つイラクとなじみの浅い日本における一般誌では突っ込みにくいはずのイラクの部族社会構造に切り込んだものであるがゆえに、マニアックなエッセイであった。それにもかかわらず、フォーサイトの懐の深いところで、何の異論もなく、そのまま載せていただいた。感謝に値する勇気であった。

この雑誌をほぼ毎月読んでいたこともあり、少し感傷的にさせられた。一読者として同誌は、海外情勢・外交に関する視座を提供する日本語の数少ない雑誌であり、ときに疑問符がつくような記事もあったが、それはそれなりに著者のスタンスとして、読ませていただいた。

論座や諸君のような総合誌のみならず、子供の時に親しんだ科学なども休刊だそうだ。雑誌氷河期とはいえ、電車や飛行機の中で読む雑誌がつくづく少なくなったことは嘆かわしい。メルマガやブログ、ワイドショー化したニュース、それらの存在意義は大きいと思うが、読み終わった後に考えさせられる部分が多い幅のある主張を見る機会はますます少なくなっていくのだろう。

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思わず反応:今日のGood Day

今日の朝のラジオのコメントは、再び普天間でした。

おはようGOOD DAYでは、朝の6時に局入りし、それから打ち合わせをして6時半ころおよび7時15分過ぎのコーナーに臨みます。うち合わせは、昨日の主要な出来事からトピックを選択し、小生のコメントを訊かれますので、一通り応じ、それを紙に起こします。この書かれたものを見ながら、上柳キャスターが小生とやり取りをするのが普通です。時には、上柳さんから、突然の変化球が飛んできて、それに答えることはありますが、予定通りの質問の場合、打ち合わせの答えのラインで話すのが普通です。

今朝の場合には、普天間をめぐる問題でオバマ大統領と鳩山総理がコペンハーゲンで会談できなかったことに対するコメントをする予定でしたが、事前に聞いていなかった福島社民党党首の発言に、思わず小生のほうから全く異なる答えをしてしまいました。

福島女史の「米軍再編の中で2014年までにグアムに移転を行い、これに対して日本が資金を提供する合意があるのだから、これを実施すべき」云々との発言が流れました。この発言を聞いている間、米軍再編を巡る日米合意の文章が頭に思い浮かび、合意文書の一部分だけが取り上げられて事実関係が歪められて伝えられていないか、と思わず反応してしまったのです。小生は、「日米合意文書では、グアムへの移転とキャンプ・シュワブ沖合への空港建設はリンクして進められると明記されていたはずで、一部だけ取り上げると、米側のみならず、地元の方々にも誤った期待を抱かせる。この合意に賛成であろうと反対であろうと、大臣という立場の方が事実関係を一部だけ取り上げられるのは、感心できない。」旨述べました。

思わず、反応してしまいましたが、上柳さん、突然こちらから予定を狂わせてすいません。

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オバマのアフガン戦略:今日のGood Day

金曜日の早朝は、上柳さんのおはようGood Dayにレギュラー・コメンテーターとして出演していますが、今日は、6時台のコーナーでオバマのアフガン戦略について話しました。

オバマにとって、アフガン戦争は重要なものですが、「対テロ戦争をないがしろにするのか」との批判に対し、「本丸はアフガンにあり」としたのは、もしかすると熟慮なしの発言だったのではと疑っていますが、それはそれとして、今日お話ししたポイントは以下の通りです。

○ アフガン駐留米軍司令官による「4万人増派がなければ米軍は敗北する」とのメディアへのリークは、オバマ政権のアフガン戦略構築プロセスに影響を与え、これに対しバイデン副大統領が「まっとうなアフガン政権に責任を委譲できるようにならないのならば、泥沼から抜け出るべき」と反論し、早期に構築するはずであったアフガン戦略は12月にまで持ち越された。

○ 最終的に出された「3万人増派」、「2011年7月撤退開始」、「アフガン治安部隊の増強と権限の段階的移譲」は、上記の経緯を受けた妥協の産物であったが、アフガン戦略をめぐり「与野党ねじれ」が見られ、支持率も下がる中で、時間的にも政策的にも追い詰められた中で打ち出された。

○ 一昨日よりNATO外相会議が開催されているが、米国はNATOの1万人近い増派を求めて、総計4万人に帳尻合わせしているように見え、NATO諸国は当初の約束の5千名増派にどれだけ上積みできるかを検討せざるを得なくなっている。しかし、NATO諸国部隊の与えられたマンデートは、米軍のより攻撃的なマンデートとは異なっており、数だけで判断するのはおかしい。さらに、撤退時期の明示は、昨日の議会公聴会で「敵を利し、友に誤解を与える」と批判を受けた。そもそも、新たなアフガン戦略においても、オバマ政権は「敵」がカーイダなのか、ターリバーンなのかを確立できていない。

○ 日本の部隊増派は政治的に期待できない状況ながら、50億ドル支援はオバマ政権にとって本来、喉から手が出るようなものではないか。アフガン政権正常化、撤退の前提となる治安部隊の訓練、アフガン国家予算をはるかに上回る治安経費、8000名にのぼるターリバーン離脱兵への対処等に、財政支援をうまく組み込めるのであれば極めて効果的になり得るからである。支援がアフガンでも米国でも評価される可能性はあり得るものの、重要なことは、これらの支援を円滑に協調体制が組めるような協議を米国との間で行い、十分にアピールできるかであろう。130億ドルも拠出しながら、「なにも感謝されない」と言われた湾岸戦争の際の金銭的支援は、米国にも国際社会にもアピールできなかったが、その二の舞になってはならない。

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