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ラマダーン元副大統領処刑

先般、このブログに掲載したタハ・ヤーシーン・ラマダーン元副大統領が(http://tikrit.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_afbe.html)、20日、処刑されたそうです。

旧政権の処刑者はすでに4人目となりました。旧政権の権力者を裁き、処刑するプロセスは、独裁の全政権の否定(=現政権への正統性付与)につながる効果が期待されますが、現政権の統治能力が問われている中、処刑が現政権にプラスに働く効果はミニマムなものにとどまっているようです。逆に、サッダーム・フセイン元大統領の墓のそばに、戦時中に殺害された元大統領子息ウダイとクサイが埋葬されて、多くの人々の参詣を受ける等、逆の効果も出始めているようです。

ここは、「処刑ありき」で罪を確定させる裁判ではなく、多くの罪を暴きだして独裁政権の負のイメージを強調するか、政権により多くの国民の信頼が寄せられるようになってからでないと、処刑が私刑に見えてしまうのではないかと、危惧しています。

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再び、特措法延長問題

航空自衛隊派遣の根拠となる特措法の延長に対する見解は、すでにhttp://tikrit.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_1e4e.htmlに発表した通りである。現在でも政府は2年間の延長と、前回と同様、特措法に基づく基本計画の6か月ごとの更新という方針堅持のようで、党内の根回しを行っているようだ。

この一カ月の間に、イラクに部隊を派遣している英国軍が段階的兵力削減を発表し、デンマークが部隊撤退を発表した。両国はアフガニスタンへの増派を表明して、両国政府は否定しているものの、「バーター」の形を取ることになった。さらに、ルーマニアが年内の兵力削減を発表し、リトアニアが真剣に撤退を検討していると表明した。両国ともに、相当前の発表を行う形だ。

これらの経緯を見ると、出口戦略、撤退のハードルは高い。特に、現在軍隊を派遣する国にとり、米国との関係は重要であるようだ。

さて、振り返って、特措法延長に際して、日本政府はいかに撤退戦略を考えているのだろうか。日米関係が重要なことは当然でも、いつの日か航空自衛隊を撤退させるとすれば、それはどのようなシナリオになるのであろうか。それとも、米軍撤退時まで派遣を継続するのであろうか。特措法が延長されれば、撤退表明即撤退を早期に実施することは難しそうだが、あるいは事態がより悪化して逃げ帰るまで、派遣を継続するのであろうか。
さらに日本政府は、国連等に対し物資を供給するために重要なミッションを担っていることを強調しているが、そうであれば、米軍が撤退した後までも、ニーズがあれば派遣を継続することになるのだろうか。

イラクの状況が早期に改善されるシナリオよりも、中期的に悪化が継続するシナリオの方が可能性が高そうである。また来年には米国の選挙イヤーが開始され、対イラク政策が選挙の焦点の一つになりそうなことに鑑みれば、日本の撤退は政治的により困難になるかもしれない。あるいは、イラクの状況にかかわらず、米国は「ミッション・コンプリート」を強調して、腰が引けた状況になる可能性もある。国連への貢献を強調する日本はその時、どういう対処をするのであろうか。

ここはやはり、特措法の期限切れをもって、撤退が最善ではないか。日本の対イラク支援のブログで書いたように、日本は対イラク支援のあり方を再検討する時期に来ているように思われるところ、政府は、現在の対イラク政策を根本的に議論すべきではないだろうか。国民の血税を効果的に使用し、派遣される自衛隊がより意義のあるミッションを行うためにも、公明党は本件に関して、与党内の足並みを乱す勇断ができないだろうか。それも不可能ならば、民主党はこの問題を争点に国民に対し、説得力のある訴えをできないだろうか。

政治的決断が迫られているように思われてならない。

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独裁者の下で:ラマダーン元副大統領死刑確定

サッダーム・フセイン元大統領の腹心、タハ・ヤーシーン・ラマダーン元副大統領が、シーア派住民が多数を占めるドゥジェイルでの無差別逮捕、拷問、処刑の罪で処刑されることが確定した。サッダームと同じ事件で起訴され、いったんは終身刑が下されながら、控訴審で差し戻しとなり、死刑の判決が下るという経緯を経たものであった。おそらく、そう遠くない将来にまた一人、サッダーム時代の幹部が絞首刑に処されることになるのだろう。

タハ・ラマダーン副大統領は、モースルのジャズラーウィ部族の出身で、クルドの血をひいている。彼は、サッダームが権力を掌握する以前にバアス党が依っていた部族ではなく、サッダームが開拓した支持部族に属する正にサッダームの掌中の腹心である。

タハ・ラマダーンもしかしながら、サッダームの独裁に怯えていた。その例は、80年代後半のサッダームが定めた奇妙なおふれに見ることができる。サッダームは、自らをコントロールできない者が部下をコントロールできるわけがないとの理由から、ダイエットのできない人間を組織の幹部にするべきではないと主張し、身長マイナス100以上の体重の人物は局長以上に登用せず、既に局長以上の者は降格させるとした。サッダームは180cmを超える体躯であるから、多少腹はだぶついていても、この規定に引っ掛かる懸念は少ない。しかしこの規定に怯えたのがタハ・ラマダーンである。彼は160cmそこそこの身長で100kgを超える体重であった。このため、彼はダイエットにまい進し、数か月の内に60kg余のスリムな体になったのである。ダイエット後、彼と会ったアラブの首脳の一人は、彼が誰だか分らなかったという笑い話があるほどだ。

サッダームは、思いつきにせよ、ある意味で厳しい規律を部下に強いた。それは、汚職を防ぐ効果を有していたが、強烈な独裁性ゆえに、恐怖をも強いた。

またラマダーン副大統領は、しばしば、治安機関に大きな影響力を有するサッダームの義弟や国軍と天秤に掛けられ、彼らの権力の突出を防ぐための道具に使われた。イラン・イラク戦争中に国軍の影響力が増大すると、ラマダーンは100万とも言われる民兵組織、人民軍を率いさせられ、国軍とバランスを取るようにさせられた。その後、共和国防衛軍特別部隊が力をつけて、サッダームの義息や次男によりコントロールされるようになると、タハ・ラマダーンの役割は終わり、イラン・イラク戦争の終結とほぼ同時に人民軍は解散させられる。

独裁者はしばしばナンバー2を作らないが、彼も形式上はナンバー3(2番目の序列はイッザト・イブラヒーム革命指導評議会副議長)でも、実質は、独裁者の有する権力とははるかに遠い位置にある人物だったと思われてならない。

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シリア=米会談

報道によれば12日、米国務省のソアブレイ次官補が、米政府高官として2年ぶりにダマスカスを訪問し、ミクダード外務次官と難民問題等について協議を行った由。本会談はシリア側報道によれば有益な意見交換だったとのことだが、その一方で、シャラア副大統領は、米側との会談は端緒についたばかりであり、関係修復には時間を要すると述べた由である。

この会談は、いくつかの重要性を有しているように思われる。

第一に、イラクをめぐる米国の戦略に変化がみられているようだ。昨年末のベーカー・ハミルトン報告では、イランとシリアはイラクを安定させる能力を有しているので建設的な関与をさせることが必要とされた。しかしブッシュ大統領は本年になって発表した、いわゆるイラク新政策の中で、イランとシリアにイラク問題に関与させないよう圧力をかけるとまったく逆の立場を表明した。このような政権の立場にもかかわらず、数日前にはバグダードの治安関連の国際会議において米国はイランとシリアと同席した。これに引き続き、「端緒」とは言え、シリアと直接協議を行ったことは、米国の政策の変更が早くも始まったことを意味するのかもしれない。

第二に、ベーカー報告は共和・民主両党の議員の主張を取りまとめた結果、対立する意見については細部に至るまでそれぞれの議員の意見を反映したものとはならなかったと聞いている。ベーカー元国務長官は、腹心のジェレジアン元次官補(元シリア大使)の強い主張を受けて、シリアとイランに対する対応は異なるべきと主張したようだ。シリアを圧力と共に懐柔することにより、イランを孤立化させる政策である。イランを孤立させることで、イラク問題に関しイランの無用な関与を避けさせることが一つの目的である。いま一つの目的は、ブッシュ元大統領が湾岸戦争を遂行した際に、アラブ側が割れて、親米のエジプト、モロッコ、湾岸諸国が多国籍軍を構成したことに対する批判が高まった。また、パレスチナ問題を取り上げてアラブ内の亀裂を強めようとサッダームが画策したのに対し、イスラエルとの前線国家のひとつである強硬派のシリアが多国籍軍に参加して、アラブの大勢が決まったことがある。今回も、アラブ内のイラクに対する協力とイラン包囲網構築を決定づける方向の外交工作と考えることができるかもしれない。

第三に、シリア側は対話を望んでいるはずだが、比較的覚めた反応であった裏には、確証はないものの、レバノン問題があると思われる。米国とシリアの対話の障害は、シリアがレバノンを衛星国とみなし、米国はシリアのレバノン介入を対シリア圧力の口実にしていることがある。シリアとしては、他の分野で米国と一定の協調をする用意があっても、レバノンについて米国の黙認を引き出したいのが本音のはずである。

シリアと米国の対話、場合によっては中東情勢に大きな影響を及ぼす可能性があり、今後継続するか、注意深く見る必要がある。

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アラブの名前

新聞や雑誌に原稿を書くとき、「すみません、サッダームの綴りですが、本誌ではかねがねサダムとしていますので、統一させてください」と連絡をいただくことがある。最近では議論するのも辟易し、「はい、どうぞ」になっている。

しかし、テレビではやはりアラブ人が聞いてわからない発音は意味がないと考え、かねてからサッダームはサッダーム、サマーワはサマーワ、イスラームはイスラームで通している。

新聞や雑誌はなるべく短く表記して多くの情報を伝えたいのかもしれないが、そもそもブッシュはブシュではないし、ハンバーガーはハンバガではないだろう。前述のとおり、アラブの名前については、あまり抵抗していないが、二つだけは通させていただいている。

一つは研究者としてのプライドがかかっているもの。たとえばそれはイスラームで、これをイスラムとすると、やはり研究者としての常識を疑われると考えている。

二つ目は、アラブ人が聞いて完全に誤解するもの。たとえば、バース党と直される時は、「バアス」ですと抵抗している。アラビア語でバースとやると、乗り物のバスになってしまうから。

フセイン大統領もなるべく避けて、個人名のサッダームにしていたら、先日、ブログでこの件を取り上げられておられた方がいた。よく調べておられて、感心した。

      ↓

http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/3111825a91942c7962a994e1a3633729

ところで、イラクの地方行政単位もわかりやすくするために、私の場合、「県」にしている。他の雑誌などは「州」を使っているものも多いようだが、やはり違和感がある。かつてオスマーン・トルコの時代に、現在のイラクの17の県はより大きな行政単位に分けられており、そこでは「州」が使われ、モースル州、バグダード州、バスラ州になっていた。現在でもバスラ県が存在するが、もしもバスラに州を使うと、かつての行政単位と混同されるのではないかと危惧してしまう。

そもそも中東に対しては、多くの誤解と偏見が存在する。可能な中で我々のような伝える側が、細かい話でも気をつけていかなければと考えている。

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イラクの治安に関する国際会合の開催

10日、バグダードにおいて治安会議が開催された。この治安会議には、イラクの他、安保理常任理事国、エジプト、シリア、ヨルダン、サウジアラビア、クウェート、イラン、トルコ、国連、イスラーム諸国機構、アラブ連盟から、高い事務レベルの代表が出席した。米国とイラン、シリアが同席するこのような会議は初めてのものであり、注目を集めた。
結論から言えば、来月イスタンブールで予定されている閣僚級会合の準備会合として開催されたこの会議は、とりあえず各国の意見をテーブルの上に出したものにとどまった。

会議および会議をめぐる問題の焦点は以下の通りであった。

○ イラクの安定に向けて域内協力・国際協力が構築可能か
これは会議の主題に他ならないが、報道されている限りでは、現時点では協力体制を具現化するには遠く、各国の立場の表明に終わったようである。ブッシュ大統領が表明した新イラク戦略によれば、イランやシリアを関与させないよう圧力をかけることがポイントであったのだから、ISG報告が提案していたイラクの安定に向けた会議の開催が実現されたこと自体、意義があったのかもしれない。あるいは既にブッシュ政権のイラク戦略のマイナー・チェンジが始まったと見てもよいのかもしれない。ところが、会議の大きな方向は定まっていなかったようだ。米国およびマーリキー首相は、域内勢力による抵抗勢力に対する支援停止を求め、逆にイランやジバリ外相などは、積極的な協力体制を指向していたようである。域内・国際協力の方向づけが明確にならない限り、会議の成功はもとより、後述する米国とイランとの雪解けもないように思われる。

○ 宗派対立の拡大を防止できるか
イラクの最大の問題は宗派対立である。ほとんど報道されていないが、アラブ連盟及び一部のスンニー派域内国は、シーア派伸長への懸念もあり、イラクにおけるスンニー派排除が終わらない限り、問題の解決はないと考え、現行憲法の停止、平等な富の分配およびバアス党排除政策見直しが重要と主張したようである。イラク政府側はこのような要求は内政干渉に他ならないと考えているようだが、域内諸国は、イラクにおけるシーア派の伸長とスンニー派抑圧が、イラク国境を超えた宗派対立へとつながることを強く懸念している。なお、本件が会議において協議されたとの報道はないが、きわめてセンシティヴな問題として扱われているのかもしれない。

○ 敵対するイランと米国の対話があるか
米国はこの会議においてイランおよびシリアと同席することになり、イラン側は否定しているが、ハリルザード駐イラク米大使は、会議の席上、イラン側との直接的なやり取りがあったとしている。イランは中東世界安定のカギを握る国であり、そのもう一方の主体が米国である以上、二国間問題の協議ではないにせよ、両国が同席したことは注目されるべきであろう。これに先立ち、イランの通信社は米国がイランとの直接対話を要求したとの報道を流したが、結局会議の席上以外での「バイ」の協議もなければ、イランの核問題に関して取り上げられることもなかったようである。米国側は、テロリストに対するヒト、モノ、金の支援を停止するよう求め、イラン側は、米国の「占領」が国際的なテロリストの連携を生んでいるとして米軍のイラク撤退の明確な日程を示すよう求めたとされ、主張はすれ違いてある。いずれにせよ、今回の協議は事務レベルであり、ライス米国務長官が出席するとされる次回の閣僚会議における動きの方が重要かもしれない。なお今回の会議に先立ち、イラン・サウジ首脳会議が開催されたが、イランの根回しが効いてスンニー派諸国が米国に同調してイラン批判を繰り広げるような展開にはならなかったのは、イランの外交的勝利であったと言えよう。
またシリアに関しては、マーリキー首相及びスンニー派勢力、旧バアス党勢力のすべてにアクセスがあり、一部で宗派対立の仲介役になるのではないかとの見方もあったが、その動向については現時点では不明である。

○ イラク国内の動き
アラーウィ元首相のイラク・リストを中心として、米国も絡みながらクルド政党やほかの諸政党を取り込んで、新たな与党を作ろうとする動きが水面下で動いているようだ。与党統一イラク同盟(UIA)から、ファディーラ党が離脱したのも気になっており、宗派よりもイラクを優先させるような政策を指向する連合が模索されている。逆にマーリキー首相は数週間の内の内閣改造を表明しており、政局が動き始めている。アラーウィの動きに同調しているとみられるイラク合意戦線は、今回の治安会議が不調に終われば、新たな会派の立ち上げが動き出すとの見方を示しており、米国がマーリキー首相を見限る動き、あるいは米国のマーリキー首相圧力強化が会議と関連して始まっているようにも見える。

今回の協議は象徴的なものにとどまったかもしれないが、来月の閣僚会合に向けて、動きがあるかが注目される。

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特措法延長???

「イラク特措法を2年延長、首相訪米前の衆院通過目指す」
 政府は2日、イラク復興支援特別措置法の7月31日までの期限を2年間延長する方針を固め、与党に伝えた。近く改正法案を国会に提出し、4月末に予定される安倍首相の米国訪問前の衆院通過を目指す。
 日米同盟と国際貢献を重視する立場から、現在実施しているイラクでの航空自衛隊の輸送活動を継続する必要があると判断した。
 延長幅について、政府・与党内には、イラク情勢が依然として不安定であることなどを懸念して、1年とする案も出ていた。しかし、「短期間で輸送活動をやめるような印象を与え、関係国との関係が悪化する」(防衛省幹部)と判断した。(3月3日 読売新聞)

上述の特措法延長であるが、以下の観点からもよくよく議論する必要があると思う。

● 自衛隊派遣の根拠となった特措法を必要とする環境は継続的に維持されているか。
自衛隊部隊派遣の際、小泉総理(当時)は、イラクが不安定で民間NGOや企業が活動できない以上、自己完結的な自衛隊を送る旨の説明を行い、それを可能にする特措法が採択された経緯がある。
現在の航空自衛隊の作業は、自己完結的な部隊でなければなしえないか?航空自衛隊の部隊は現在では、隣国クウェートからイラクのバグダードやエルビールの空港に、多国籍軍や国連の物資や部隊を輸送している由だが、両空港には、ロンドン、ウィーン、アンマン、カイロ、ドバイ等から民間商業便が運航している。しかもDHL航空貨物便まで就航しているのである。自己完結的部隊を必要とする理由は大いに低くなっているように思われる。

● 航空自衛隊派遣状況はどうか。
航空自衛派遣部隊が派遣されておおよそ3年になる。約1150日余の間の活動実績はどうか。C-130輸送機3機が毎日飛行したと過程すれば、約3500ソーティに達するはずであるが、実際に飛行した回数は474回にすぎない(3月3日付航空自衛隊HPより)。聞き及んでいるところによれば、風や危険情報等が少しでもあると飛行しないのが航空自衛隊部隊で、民間航空機よりも「飛ばない」部隊と言われているそうだ。物資が届かない、人員が輸送できない信頼できない輸送便であれば、それははたしていかなるものか。
現在では国連関係の物資や人員を輸送しているはずで、国連から感謝されているとの指摘もあるが、多国籍軍や国連経費を浮かせることが航空自衛隊の派遣の目的なのであろうか?イラクの人道状況にかんがみた必要性に対応する適切なオペレーションが必要なはずである。感謝されず、必要ない部隊であれば撤退すべき様に思われる。陸上自衛隊がサマーワで実施した活動とは異なる評価を受けているように思われてならず、検証が必要ではないか。
なお、最近ではイラク国内のテロ組織が戦術を変更し、対航空攻撃を集中させていると言われており、過去1カ月で少なくとも5機のヘリコプターが撃墜されている。安全性に対する検討も必要かもしれない。

● 日本の対イラク支援のあり方
イラクの復興を主語とする場合、日本に必要とされていることはなにか?米軍は新イラク戦略を発表したが、治安偏向のやり方は継続されているようだ。イラクは国づくりを行っているのであり、治安の安定を目的にするにしても、軍事力だけで不可能なのはこれまでの経緯が示している。人材育成やインフラ整備により多くの資源を集中すべきであろう。日本の資源も税金であり無限ではないところ、航空自衛隊派遣にかかる経費を経済復興に回した方が費用対効果が高いと思われる。
このブログでも取り上げたが、日本の対イラク支援については見直す時期に来ているようにも思われる。その見直しの資金に回すべきではないか。
小泉前総理も明言した通り、対イラク支援は日米同盟に関係している。航空自衛隊派遣の意義と中身は差し置いて、日本の「象徴的派遣」が日米同盟に資すると考えているのであれば、安易と言わざるを得ない。イラクの安定が米政権の今後を左右するとすれば、費用対効果の高い支援が重要であり、日本はその役割を担うと表明する方が、真剣に日米関係を検討しているとの印象を与えられるのではないのか。なお、外電等では、クウェートに派遣されている航空自衛隊は、もはやイラク派遣部隊の一つに数えられていない中途半端さである。
そもそも、米国自体、イラクの安定いかんと関係なく、国内政治次第でイラクから腰が引けそうな不透明さを伴う中で、二年間の延長という判断は適切なのであろうか。

以上のように、航空自衛隊派遣維持を前提とした二年間の特措法延長については、慎重であるべきと思われる。もしも安易な延長の動機が首相の訪米の土産にするためであれば、不適切と言わざるをえまい。

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日本の対イラク支援

最近、ふたたび日本の対イラク支援について語る機会が増えている。

イラクに対する復興支援は人道的に重要で、イラクを含むあの地域に石油を依存せざるを得ない日本にとって経済戦略的にもその価値は高い。また、テロが国際社会の対処すべき問題である一方で、イラク発やイラクの状況に触発されたテロが拡大しつつあるように見える中、テロを育むものが、社会的不安定や大衆の不満に起因するとすれば、イラクへの支援は対テロ対策の顔を備えることになる。

さて、日本のイラクの戦後に対する支援はどうであったろうか?日本の支援は、経済支援、自衛隊派遣および対日債務削減の3つの柱があると思うが、今日は第一の経済支援の内の対イラク直接支援について考えてみたい。

イラク戦争終了後のマドリード会議において50億ドルの支援表明を行った日本は、当時で186億ドル支援を表明した米国に引き続き、第3位以下を大きく引き離して、イラク支援国として高い評価を受けた。その後で暫時支援額を増加させたEUと比較しても、日本の最初の多額支援表明のインパクトは大きかったと言えよう。この意味で日本のやり方は、湾岸戦争終結時と異なり、外交的得点となった。また、世銀やIMFの支援も実際の拠出が遅々として進まず、各国の拠出により作られた復興基金(IRFFI)も少額にとどまったことから、日本の支援に中身を伴う期待が集まったことも事実である。

しかしここに来て、日本の支援が現在のまま進められていいかについては疑問が出てきているようだ。日本の支援は、2003年の緊急復興支援に始まり、2004年度の無償援助、そしてそれ以降のプロジェクト主体の円借款に進むことになっていた。この計画は、イラクの戦後復興が時をかければ進み、石油を主体とする基幹産業の復興と共に、少なくとも2005年くらいにはプロジェクトベースの円借款が効果をあげるというシナリオが前提にあったと考えられる。

しかしながら、イラクの安定は実現せず、表明した円借款もすでにイラク側との間で4件の署名は終わったものの、大きく踏み出した案件はない。当初のシナリオがすでに崩れてしまったのが明白な以上、このあたりで見直してはどうか。米国の対イラク政策が見直されたのを機会として、無償支援や人材育成に力を入れるのも一案ではないだろうか。

サマーワから陸上自衛隊が撤退する以前は、大義名分と具体的な計画立案上の便宜もあり、サマーワを含むムサンナー県に対する支援が集中的に行われた。無償支援の約14%が通常であれば見向きもされないような県に集中したのである。

円借款の地道な実施に向けた状況判断が必要とされている現在、イラク側とのパイプを維持しつつ、効果的な支援を実施するためにも、いったん最初のシナリオを見直し、たとえば、比較的安定している北イラクのような地域にイラク側技術者を集めての人材育成等に無償資金をつけなおす手間と勇気も必要ではないだろうか。信頼あるカウンターパートを育て、雇用のない若者たちがテロに進むような状態を改善することは重要ではないだろうか。また対イラク支援は対米協調にもつながるが、力だけでは国づくりはできないという簡単な論理がわからないように見える米国に対し、日本が提言できるものは少なくないように思える。

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子供のような気持ち

常に死やテロを語っていると、何となく社会を斜に見てしまうことが多いと気にかかっています。

今日まで熊本に行っていましたが、久しぶりに仕事関係なしで人間として尊敬できる人に会いました。何となく、ほっとして、自分が子供の時のような気持ちになれたことをうれしく思っています。

昨日は、イラクにおいてサッカー場でテロがあり、子供たちが殺害されました。皆さんのご厚志を得てサマーワに寄付することができた孤児院は昨年11月に稼働を始めましたが、やはり社会が歪むことがテロの背景にあるとの信念は変わりません。

イラクの子供たちにも、人を信じる素直な気持ちが抱けるような日が来ることを信じたいと思います。

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