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政界再編の動き?

昨年12月の選挙を経て、5月に新政府が発足した。国民和解を掲げたマーリキー政権は、その言葉とは裏腹に、シーア派ならびにクルド人を政権内で優遇し、スンニー派武装勢力には鞭を、シーア派民兵には黙認をという立場で臨んだ。結果、国民和解を進めるための政権下で宗派対立が先鋭化し、イラクの不安定の最大の要因になってしまった。

シーア派民兵を抑えられない政府に対する矛先は、ジャワード・アル=ボーラーニー内相に向けられ、近いうちに内閣改造を行うことが見込まれている。その一方で、政権会派の統一イラク同盟(UIA)内で主流派を構成しているダアワ党(マーリキー首相所属)とサドル勢力の間に微妙な関係が生じ始めている。
ブッシュ米大統領とマーリキー首相との会談に対し強い反対を表明してきたサドル勢力は、この会談がヨルダンで実現するにあたり、議会をボイコットすると宣言し、6名の閣僚と30名の議員を引き上げた。
このような中で、スンニー派の国民対話戦線やシーア派のファディーラ党、反米色の強い独立勢力などがサドル派と急接近しているとの情報が流れている。親米・反米を軸に政界再編が行われる可能性が出始めた。

そもそも現イラク政権は、イラクの安定のためにすべての勢力を取り込む必要があるとの観点から、主義主張や政策の異なる政党を可能な限り糾合する方向で成立した。また政権会派であるUIAは、2003年末のシスターニー師の周りに集まった勢力を中心に出来上がったが、シスターニー師の利用価値が薄れるにつれ、彼らを結びつけるものは、権力にしがみつくための数の論理に過ぎなくなっているようにも見える。
UIA内では、イラク・イスラーム革命最高評議会(SCIRI)とダアワ党の間のライバル関係が知られている。また連立与党内では、SCIRIのジャアファリー前首相とタラバーニー大統領との確執があると言われてきた。これらの関係は、政界再編が実現する場合に一定の役割を果たす可能性がある。

親米・反米の軸は皮肉なことに、イラクを二分化する最大のイシューであり、対立項としては極めてわかりやすい。しかしながら、この対立軸で政界が二分する場合には、イランの影響力等、米国主導のイラク政治プロセスに新たな要素がより強く入ることになる。
イラク国民の政府に対する不信感を醸成した理由のひとつは、国家の利益ではなく、政党や政治家の利益が優先されて、安定的な政権や効果的な政策運営がなされないことにあった。政界再編が成し遂げられて新たなイラクの進む方向をもたらす場合、宗派対立の構図は変化する可能性があるが、国民不在が継続するのであれば、政府に対する不信感というイラクの不安定をもたらす要素は不変になる。

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