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再びローマ法王発言について

17日のローマ法王個人による謝罪が出されて以降、逆にアラブ世界の怒りは拡大したように見られる。法王は、自分の発言がイスラーム教徒に対する攻撃と受け止められ、多くの反応を引き起こしたことを遺憾と思うとした上で、東ローマ帝国皇帝発言の引用は自分の見解ではないと発言したが、これが真摯な謝罪と受け止められなかったのである。

ローマ法王発言に対してなりを潜めていたエジプトの新聞は、一気に法王批判のトーンを強め、解説や意見記事の多くは、法王発言に対する批判である。これらの批判は、「法王の見解でないならば、引用する必要があったのか」、「法王としての立場をわきまえずに行った不用意な発言にもかかわらず、真剣な謝罪をしたとは思えない」、「イスラーム世界における反応に対する謝罪とはどういうことか」というものが多かったようである。

その中でも、「法王はブッシュの政策に乗って、イスラーム攻撃を始めている」という論説と、「東方世界(中東を指す)におけるキリスト教徒はイスラームと歴史的に平和な共存を継続し、預言者ムハンマドが生存していた時期にも寛容な精神を示していたのに、なぜ西側社会のキリスト教徒は共存を拒むのか」という記事は目を引いた。イスラーム世界大衆の素朴な見方を繁栄しているのではないであろうか。

法王はイスラームに転向すればよいとのリビアのカッダーフィー大佐の息子の発言は別としても、責任ある立場の批判も噴出している。アズハルの最高権威であるタンターウィ師は、真摯な謝罪があるまで法王のエジプト訪問に際しての会談を行わないと述べたとのことである。現在、私はヨルダンに来ているが、数日後に予定されていた在ヨルダン・ヴァチカン大使のお披露目のパーティはキャンセルされて、この大使は公的な行事から逃げ回っているそうである。

イタリアの新聞では、世界宗教会議に参加しなかったベネディクト16世は他宗教との交流に興味がなく、前任のヨハネ・パウロとはまったく違うというコメントすら載っていたそうである。イスラーム世界に根強い不信感が増幅され、カトリック側も他宗教に背を向けるようであれば、それはアル=カーイダが望むような憎しみと宗教対立の世界になってしまう。

おりしも週末には、イスラーム世界は断食月に突入するが、この月は特にイスラーム教徒が敬虔になり、お互いの宗教的疑問を話し合う機会が多くなる。早期の解決と用心深い立場が望まれる。

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