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ローマ法王発言について

ドイツを訪問していたローマ法王の発言がイスラーム世界で波紋を呼んでいるようだ。イスラームに対する「侮辱的発言」に対し、各国や宗教家たちが反発している。

現在、私はエジプトのカイロに滞在中であるが、ここでもほとんどの人々が法王がイスラームを侮辱したと理解している。エジプトの新聞の報道を見ると、法王発言の詳細は伝えられていない。イスラームを侮辱し、邪悪で非人間的と発言した程度の発言である。「イスラームに敬意を表している」との法王庁の釈明も、「法王が謝罪した」と事実関係と異なる内容になっている。

その一方で、国内問題以外ではきわめて自由とされるエジプト各紙の報道はきわめて抑制されたものである。アフラーム紙並びにグムフーリヤ紙は、事実関係にとどめ、翌日はまったくこの件に触れていない。アフバール紙やローズ・ル=ユーセフ紙は、次の日も専門家の見解を交えて紹介しているが、やはり抑え気味である。宗教対立を煽り、国内における衝突を回避するとの意図が働いているようだ。

法王のレーゲンスブルク大学での講話は哲学的な内容で(http://news.goo.ne.jp/news/goo/kokusai/20060916/20060916-001001-gedit.htmlを参照されたい)、イスラームを激しく批判するような類のものではない。このあたりの詳細をアラビア語紙は報じておらず、それゆえ、エジプト大衆の反応や一部のイスラームを標榜する組織の批判も直接的になるのかもしれない。

しかしながら、強制によって布教をするとの前提で、法王の講話が続いているのはやはり問題であり、他宗教を刺激するには十分な軽はずみな発言に見える。おそらく内容を理解したであろうイスラーム関係者等からの発言は、たとえばマレーシア首相の「イスラームを理解していない」との発言のように、法王発言を受けた批判になっている。エジプトにおいては、今日、アズハル大学のタンターウィ師が会議を開き、法王発言に対する対応を協議することになっている。

宗教は本来、対立と戦争をもたらすものではなく、イスラームもこの点では同様である。他方で、知的な対話が展開されることは正常であり、今後の展開が前向きな方向に進むことが期待される。法王の発言が確信犯的であったとの見方があたらず、責任あるイスラームの指導者が反発に留まらない本来の寛容な精神を見せることを望みたい。

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