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ヒズボッラーの勝利祭

22日、レバノンのベイルートにおいてヒズボッラー勝利祭が盛大に開催された。

ヒズボッラーの指導者であるナスルッラー師がこの場に現れたならば、イスラエルが空爆するのではないかとの憶測が流れ、イランがこれに対して警告を発する等、緊張が高まる中、ナスルッラー師が現れて、1時間以上も発言していた。ナスルッラー師は、対イスラエル抵抗運動の勝利を讃え、2万発以上のミサイルを保持しているとした上で今後も力による抵抗を行うと強く宣言した。また内政面では、連邦制はイスラエルの物言いであり、統一レバノンが重要であると述べた。

私は、カイロの空港でこの祭りのライブを見ていたのだが、テレビの前には多くのアラブ人が集まって、数万人に膨れ上がったこの祭りの参加者の熱狂を注視していた。

そもそも毎年開催されていると理解しているこの祭りは、アラブ世界の大きな注目を集めることはなかったが、今回の祭りは、事前に各国の新聞が一面で伝えていた。先般のイスラエルとの戦いで善戦 -ヒズボッラーによれば勝利- したヒズボッラーに対する関心は、スンニー派・シーア派という宗派の壁を超えて、きわめて大きくなっている。

この関心、心情的な支援はヒズボッラーを英雄にしている。このような事態になった背景としては、アラブ民衆の不満と冷戦後世界のアラブ各国政府の無力がある。冷戦後の中東世界では、アメリカを常に気にし、正面からアメリカの政策を批判する政府は少なくなった。

その一方で、アラブ民衆の不満は蓄積するばかりである。ソ連というアメリカに対するカウンター・バランスの相手を失ったアラブにおいては、たとえばイスラエル主導の中東和平に不満が渦巻いている。それはパレスチナ内政にまで及び、アラファト元議長が和平を阻害する元凶であるとの主張は、アラファトを退陣させた。選挙の結果、ハマースが勝利すると、人道的苦難にもかかわらず、ほとんどの対パレスチナ支援がストップした。ハマースが今後、前面に出なくなっても、状況が改善することはないであろう。米=イスラエル主導の中東和平の遅滞に基づく多くの問題のつけは、パレスチナ人が払わされている。

政府が優柔不断な態度を維持し、アラブ大衆の不満を噴出させるすべが失われる中で、ヒズボッラーの行為は、まさに英雄的に他ならなかった。ヒズボッラーのやり方がいつまで有効かは解らないが、ヒズボッラーは存在すること自体が目的で且つ勝利である。問題は今後も継続する。。。

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