« ザルカーウィ殺害 | トップページ | 新たな手口 »

小泉外交

今日(18日)、京都大学の中西先生と同志社大学の村田先生と共に、都内の砂防会館において日本外交に関するパネルを行いました。

両先生の評価は、小泉外交は及第点なるも、「優」ではなかったとのものだったでしょうか。

中西先生は、北朝鮮および靖国問題に関する小泉外交の失敗、そして東南アジアとの経済的協調関係の重要性を指摘されておられました。村田先生は、小泉総理の説明責任の放棄を指摘されると同時に、ブッシュ大統領との良好な個人的関係を築いたことを評価されておられましたが、この関係は個人的なものであり、これを相続するためには、個人資産の相続なので、多額の相続税を差し引いた形でしか次期総裁には引き継がれないと、ユニークな説明をされておられました。

中西先生が小泉外交は制度や戦略に欠けていたとの指摘をされておられましたが、小生も同感で、冷戦以降の日本の外交戦略を樹立することは、5年の長期政権を全うしつつある小泉政権が行うべき仕事であったはずであるのに、冷戦後の変化に日本外交が対応できなかった責任は重いと述べました。ポスト冷戦はソ連の崩壊に伴う唯一の超大国米国の出現を意味しており、米国との関係がどの国にとっても重要になったことは当然で、日米同盟は重要である一方で、東側が消えたわけですから、米国を西側のボスとしていだく必要も消えたとの認識を述べました。その上で、欧州モデルと中東モデルを提示しました。欧州においては、冷戦後、米国の立場は低下し、域内協調関係が強まりました。その一方で、ソ連と牽制し合って影響力の行使ができなかった中東においては、米国の価値観を受け入れるか否かが突きつけられ、時には赤裸々な暴力の行使が見られました。翻って、アジアにおいては、いずれのモデルが適用されるかについて、日本の政策はどちらを向いていたのかがまったく解らないと指摘したのです。

また、村田先生は、米国政府と宗教との関係がやっと認識されたものの、原理的な宗教観で米国政治をもっぱら説明したり、仏教は寛容で一神教は排他的との偏見ですべてを理解する傾向を批判されておられました。この指摘はまったく同感で、テロをイスラームに帰したり、中東で起こっていることを「宗教戦争」と捉えると、大きな過ちを犯すと指摘しました。文明の対立と捉えた時点で、それは救いようのない混乱へと投げ込まれると思います。米国の原理主義とイスラームなり、旧東側社会なりの原理主義の対立の構図が出来上がれば、それはとめどない衝突しか見えないのではないのでしょうか。

限られた時間ゆえ、議論は中途半端に終わりましたが、久しぶりに愉しいパネルでした。中西先生、村田先生、ありがとうございました。

|

« ザルカーウィ殺害 | トップページ | 新たな手口 »

コメント

確かに 宗教に結びつけると『とめどない衝突』に 繋がり、3大宗教の一つである イスラム社会を 敵とすることは 大変な事態となりますね。
 いつでも『日本の政策はどちらを向いていたのかがまったく解らない』と 思います。
 それは 宗教にも もられますね、日本人には こだわった宗教は無く どんな宗教でも その精神を受け止めようとする 所から かもしでた 所でも あるかもしれませんね。 だが 政治の面でも お互いを切磋琢磨しようとせず、批判&潰そうとする所が 分裂を生み出し ていっているのかも知れませんね

投稿: 建築や | 2006年7月26日 (水) 22時46分

内政と外交は常に連動していると思います。

この連動が相互に効果的に働く場合もありますが、そうでない場合もあると思います。

先般の北朝鮮のミサイル問題についても、安部さんがもっともプレイアップされ、サミットと国連という外相が最大限に力を発揮できる舞台において麻生さんの影が薄かったことを内政に還元するのは乱暴でしょうか?

投稿: 大野 | 2006年7月26日 (水) 22時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/179068/10581058

この記事へのトラックバック一覧です: 小泉外交:

« ザルカーウィ殺害 | トップページ | 新たな手口 »